<十面埋伏 上> 張平/著  荒岡啓子/訳
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[2] 面白い!中国の冒険ミステリ小説。 NAME:足立和夫 DAY:2006/02/09(Thu) 14:15
面白い小説を発見したと思いました。『十面埋伏』は「じゅうめんまいふく」と読み、意味は、敵は見えないところに潜んでいる。ジャンルでいえば冒険小説に形を借りた社会派リアリズム、と言えばいいか。
物語の発端は、中国のある刑務所の刑務官が、死刑判決を受けたはずの殺人犯が何故か15年の刑に減刑されて、本人が周囲の囚人や刑務官に「おれは2,3年でシャバに出られる」と公然と言い放っていることに強い疑惑を抱き、調査を始める。そして、即座に公権力を持つ者から烈しい脅迫を受ける。殺すぞ、と。公権力の裏に大きな犯罪組織があることを悟り、身の危険を感じる。だれを信用したらいいのか。その判断を間違えれば命はない。物語の展開は刑務所に留まらず、様々な人物が登場して政府要人の怪しい動きにまで迫る。腐った権力者との命がけの戦いが実によく活写されている。スケールの大きな小説だ。
しかし、中国でこのような内容の小説がよく発表できたなというのが、正直な感想です。作者によれば取材の過程では、相当な圧力があったという。
いずれにしろ、「現代中国が抱える政治的文化的社会的テーマ」を鋭く追及する。それでいながら、冒険小説の形の娯楽小説風になっているので、読みやすい。テーマは重いのだが、ハラハラドキドキしながら一気読みしてしまった。文句なくお薦めです。

[1] <十面埋伏 上> 張平/著  荒岡啓子/訳 NAME:BOOKS ルーエ DAY:2005/11/12(Sat) 14:57
九月九日午後、古城刑務所第五面談室。凶悪な受刑者・王国炎(ワングゥオイェン)の口から繰り出される中国全土を震撼させた数々の重大な未解決事件の”詳細”。デタラメとして一蹴する幹部たちだったが、刑務所捜査官・羅維民(ルオウェイミン)は本能的にその重要性をかぎわけ、事件解決に向かって動き出していく。
ベストセラー大賞、金盾文学賞、中国図書賞の、中国三大文学賞受賞作ついに刊行!

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