出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

紙と電子のコミック市場、10・3%増の6759億円/4年連続のプラス、過去最高を更新/出版科研調べ
日時: 2022/05/27 19:13:35
情報元: 日書連

出版科学研究所が発行する『出版月報』2月号は、「コミック市場2021」を特集。これによると、昨年の紙と電子を合わせたコミック市場規模は、前年比10・3%増の6759億円と4年連続増加し、過去最高を更新した。紙は同2・3%減の2645億円、電子は同20・3%増の4114億円だった。
2021年のコミック全体(紙+電子)の推定販売金額は前年比10・3%増の6759億円で、4年連続のプラス。ピークだった1995年の5864億円を前年に超えたが、2年続けて過去最高を更新した。内訳は、紙のコミックス(単行本)とコミック誌を合わせた販売金額が同2・3%減の2645億円、電子コミックが同20・3%減の4114億円。出版市場における紙+電子のコミックのシェアは40・4%で、4割を超える規模に拡大した。
21年の前半は、巣ごもり需要の継続もあって『呪術廻戦』(集英社)、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)が大ブレイクして市場を牽引。電子コミックも、前年に大幅増となったユーザーが定着した。緊急事態宣言がいったん解除された秋以降は売行きが落ち着いたが、年間ではプラスになった。
紙のコミックス単行本(雑誌扱い+書籍扱い)の販売金額は同0・4%増の2087億円。内訳は、雑誌扱いコミックスが同1・4%減の1849億円、書籍扱いコミックスが同17・8%増の238億円。
平均価格は同2・5%(14円)増の567円で、内訳は雑誌扱いコミックスが同2・4%(13円)増の546円、書籍扱いコミックスが同0・7%(5円)増の760円。原材料の高騰や運賃の値上げなどの影響で、4月から講談社の「週マガKC」が本体価格450円から480円に値上げ。小学館、秋田書店も22年内の価格改定を予定している。値上げによる売上への影響はあまりないとみられており、書店や作家への還元も含めて、価格設定を見直す動きが出ている。
新刊点数は同3・7%(481点)増の1万3420点となった。内訳は、雑誌扱いコミックスが同2・8%(249点)増の9272点、書籍扱いコミックスが同5・9%(232点)増の4148点。雑誌扱いコミックスは16年以来5年ぶりに増加。書籍扱いコミックスは、人気の「異世界もの」を多数刊行するKADOKAWAや双葉社などが点数を大きく増やした。
廉価軽装版コミックスの販売金額は同14・9%減の66億円で、新刊点数は同72点減の755点。コミック文庫の販売金額は同19・5%減の12億円で、新刊点数は同32点減の48点。廉価版、コミック文庫ともに市場は急速に縮小している。
売行きの動向を見ると、20年10月〜21年3月にアニメが放映されていた『呪術廻戦』は全巻大きく売行きを伸ばし、21年前半の市場を牽引。21年12月公開のアニメ映画「劇場版呪術廻戦0」が興行収入100億円を突破して注目を集め、12月発売の18巻で電子版を含むシリーズ累計発行部数は6千万部を突破した。年中盤は『東京卍リベンジャーズ』が4月のアニメ放送を機に爆発的な売行きを示し、放送前の2月時点での累計8百万部から、22年1月には累計5千万部を超えた。大人気シリーズでは、97年連載開始の『ONEPIECE』(集英社)、94年連載開始の『名探偵コナン』(小学館)がともに100巻に到達した。
少年向けでは大ヒット作『進撃の巨人』(講談社)が完結、6月発売の最終巻は特に売行きを伸ばした。青年向けでは『キングダム』(集英社)などが継続してヒット。少女向けは、7月に実写映画化された『ハニーレモンソーダ』(集英社)が好調だった。レディースコミックは『ちはやふる』(講談社)など定番タイトルは売れているが新たなヒットは少なかった。
コミック誌の販売金額は同11・0%減の558億円、販売部数は同13・6%減の1億4878万冊で、3年連続の2桁減となった。推定発行部数は同9・4%減の2億5976万冊。返品率は同2・0ポイント増の45・2%で、部数を絞っているものの売行きが伴わなかった。創復刊点数は前年と同数の1点、休刊点数は同6点減の2点で年末時点の銘柄数は同1点減の191点だった。
コミック誌の動向を見ると、話題となった号の完売はあっても単発で売れる傾向が強く、総じて厳しい状況だった。個別のトピックでは、『別冊少年マガジン』(講談社)は「進撃の巨人」最終話掲載の5月号が完売し増刷。『別冊フレンド』(同上)は「東京卍リベンジャーズ」のシール付録を添付し完売、異例の3刷増刷がかかった。
電子コミック市場は、同20・3%増の4114億円。前年の巣ごもり需要で大きく拡大したユーザーが定着するとともに、さらに新規ユーザーを獲得した。緊急事態宣言解除の秋以降はやや落ち着いたが、年間では、爆発的に伸長した前年を2割も上回った。積極的に広告を出稿するなどして新規ユーザーを獲得したストアが好調を持続した。
メンテ

Page: 1 |