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本屋大賞「書店員のモチベーション爆発」/浜本実行委員会理事長が講演/出版白門会
日時: 2024/06/30 20:37:21
情報元: 日書連

 出版界で働く中央大学卒業生で組織する出版白門会は1月26日、東京・千代田区の出版クラブビルで、「本の雑誌」編集発行人でNPO法人本屋大賞実行委員会理事長の浜本茂氏(中大法学部84年卒)を招き、新春講演会「本屋大賞と本の雑誌」を開催した。講演会終了後、懇親会も催した。当日は卒業生や現役学生ら約40名が出席した。
 浜本氏は「本の雑誌」の歴史などを語った後、「本屋大賞」について創設の経緯と20回の歴史、賞の持つ意義を説明した。
 本屋大賞の正式名称は「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 本屋大賞」といい、2004年に始まり、昨年20回目を迎えた。作家が選考委員を務める既存の文学賞に対して、本屋大賞は新刊書店員が投票で受賞作品を決定する。「出版界の売上が落ちていく中、書店にお客さんが来るきっかけになるような文学賞を書店員自らの手で作ろう」と創設された。当時『白い犬とワルツを』や『世界の中心で、愛をさけぶ』が書店員の書いたPOPをきっかけにベストセラーとなり、書店員の販売力が改めて評価されたことも後押しした。
 「本屋大賞は出版界を盛り上げるためのお祭り」と位置づけ、(1)普段本を読まない人たちが書店に足を運ぶきっかけになる(2)書店員が誰でも参加できる(3)人気作品ばかり選ばれないように投票は1次、2次の2回行って大賞を決定する――の3つの柱を決めた。
 大きな課題だった投票システムも当時普及し始めたインターネットを使えば少人数で簡単に、投票から集計までできることが分かった。第1回の1次投票に投票した書店員は191人。「望外な人数の書店員が投票してくれた。本屋大賞はインターネットがなければできなかった」と語る。
 第1回受賞作の小川洋子著『博士が愛した数式』はベストセラーとなった。翌年以降の受賞作もヒットが続き、本屋大賞は「店頭が盛り上がる賞」として存在感を高めていった。第3回でリリー・フランキー著『東京タワー』が受賞した時、「本屋大賞は埋もれた作品が受賞するのではないのか」と批判するメディアもあったが、「受賞前に100万部を超える本でも、それを3倍、4倍にしたいという書店員の思いのほうが価値がある」と述べた。
 発表会で書店員や受賞作家の顔を見るといつも感動するという。「候補10作品を読んで、自分たちが選んだ受賞作を売ってやるという書店員のモチベーションが、発表会当日に爆発する。出版界も捨てたものではない、まだまだ先のある業界だと思う」と話した。
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