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本屋大賞/『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈氏が受賞
日時: 2024/06/30 20:43:05
情報元: 日書連

 2024年度「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 本屋大賞」の発表会が4月10日に東京・港区の明治記念館で行われ、宮島未奈氏の『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)が大賞に輝いた。
 受賞作は、滋賀県大津市を舞台に主人公の成瀬あかりの活躍を描く連作短編集で、今年1月には続編『成瀬は信じた道をいく』も刊行されている。宮島氏はあいさつの冒頭で「滋賀の皆さん見ていますか。『成瀬』が本屋大賞を取りました」と地元に報告した後、「これから本屋大賞作家という看板を背負っていくと思うと、身が引き締まる思い。コロナ禍に小説家人生がスタートした私にとって、こうして多くの人にお祝いしていただけることは感無量。作品の中で成瀬は『先のことは分からない』というが、私もこんなことになるとは想像していなかった。来年の本屋大賞までの1年間、想像できないことがたくさん起こると思うが、成瀬と一緒ならばきっと大丈夫」と受賞の喜びを述べた。
 会場には昨年の本屋大賞を受賞した凪良ゆう氏も祝福に駆けつけ、「今年は成瀬が天下を取りつつ、書店を一緒に盛り上げてくれると期待している」とエールを送った。
 今回の本屋大賞は、22年12月1日から23年11月30日の間に刊行された日本の小説が対象。1次投票には530書店から736人が参加、1人3作品を選んで投票し、上位10作品をノミネート。2次投票では342書店443人が全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票した。昨年と比べて1次投票者数は59書店121人増と大幅に増加、2次投票者数も9書店21人と増加している。また今回、秋田県から投票があったことで、21回目にして全都道府県からの投票が揃った形となった。 2位以下は次の通り。
 翻訳小説部門は、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著、牧野美加訳、集英社)が受賞した。今回、部門創設以来初めて著者が来場し、ファン氏は「私の小説が日本で翻訳出版されるとの知らせを聞いて、日本の読者にどんな風に読んでもらえるのかと気になった。この小説を書いているときに日本の映画からインスピレーションを受けていたこともあっ
 (2)『水車小屋のネネ』津村記久子(毎日新聞出版)(3)『存在のすべてを』塩田武士(朝日新聞出版)(4)『スピノザの診察室』夏川草介(水鈴社)(5)『レーエンデ国物語』多崎礼(講談社)(6)『黄色い家』川上未映子(中央公論新社)(7)『リカバリー・カバヒコ』青山美智子(光文社)(8)『星を編む』凪良ゆう(講談社)(9)『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』知念実希人(ライツ社)(10)『君が手にするはずだった黄金について』小川哲(新潮社)

[翻訳小説大賞は『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』]
 翻訳小説部門は、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著、牧野美加訳、集英社)が受賞した。今回、部門創設以来初めて著者が来場し、ファン氏は「私の小説が日本で翻訳出版されるとの知らせを聞いて、日本の読者にどんな風に読んでもらえるのかと気になった。この小説を書いているときに日本の映画からインスピレーションを受けていたこともあって、雰囲気に親しみを持ってもらえるのではないかと少し期待もしていた。賞をもらえたということは楽しんで読んでくれた人がいるということなので、とてもうれしい」と受賞の感想を語った。
 また、既刊本の掘り起こしを目的に、22年11月以前に刊行された既刊書籍を対象とした「発掘部門」では『プラスティック』(井上夢人著、講談社文庫)が「超発掘本!」に選ばれた。井上氏は、「この作品は1993年に双葉社の『小説推理』に連載したもので、31年も前の作品が選ばれてびっくりした。小説家は自分の作品が多くの人に長く読まれていくことを希望しているが、なかなかそうはいかない。こういう形で掘り返してもらい、日に当てていただくチャンスを得たことはこの上ない喜びであり、これが作家冥利に尽きる」と思いを述べた。
メンテ

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