チェーン店の寡占化進む/書籍・雑誌50坪以上 前年並み284店
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- 日時: 2009/02/12 12:29:37
- 情報元: 新文化
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増改築を除く50坪以上の新規店を月次で掲載する本紙「出店ファイル」2008年の年間実績は、前年比で増減なしの284店となった。過去五年間で最多出店だった前年同様、出版不況といわれるなか、意欲は衰えていない。
書籍・雑誌売場400坪以上の大型店は前年比11店減の23店と一段落したようにみえるが、06年=24店、07年=34店、08年=23店で過去3年間の合計数は81店。1000坪超のメガ書店2店がオープンしたほか、700坪以上が7店(前年比3店減)と前出の傾向とあわせ、店舗の大型化が一層加速した。 TSUTAYAや宮脇書店、未来屋書店などのチェーン店が出店の半分以上を占め、寡占化が進んだ。帳合別ではトーハンが98店、日販が96店とほぼ互角だった。
書籍・雑誌売場400坪以上の大型書店は過去3年間で81店出店したが、未出店は宮城、福島、静岡、長野、岐阜、三重、和歌山、鳥取、広島、高知、熊本などの16県。これら地域は有力なリージョナルチェーンの勢力が強いエリアか、中心都市が分散し出店しにくい環境にあるなどの要因が考えられる。 出店済みのエリアは31都道府県、ほぼ全国的に大型店が拡散した様相。郊外型大型商業施設間の競合が全国各地で繰り広げられているのと相まって、今後もそれに連動するかたちで書店大型化の波は止まらず、競争激化は避けられない情勢である。 ある書店経営者は「出店オファーの話をすべて受ければ、4000坪にもなる。デベロッパーも必死なわけで、条件さえ合えばやりたい気持ちもある」と本音をぽろり。 また、未出店地域についてもリージョナルチェーンが資金的な裏づけから腰を上げれば、すぐにも白地図の部分はなくなる。中小書店にとって商環境は一層厳しいものとなってくる。
チェーン店別ではTSUTAYAが下半期18店を出店、年間36店(前年比4店増)で前年に続きトップを維持。2位は同位で宮脇書店の17店、3位も同じく未来屋書店16店で上位に変化はなかった。以下、くまざわ書店グループの8店、文教堂の7店と続く。 また、非書店系のコーナンブックスが13店、ヤマダ電機が12店を出店。ヤマダ電機は売場面積150〜200坪がスタンダードとなり、今後出店が加速すれば近隣書店との競合は避けられないとみられる。コーナンブックスはここ1、2年で出店数を伸ばし、取次の帳合拡大にひとつの道を示したようだ。 名古屋地場の三洋堂書店が2月に埼玉・北浦和に初進出する一方、静岡・戸田書店は6月に山梨中央店、7月に青森店を出店するなどリージョナルチェーンのドミナント拡大が目についた。
規模別ではジュンク堂書店札幌店が1800坪でダントツ。次がブックファースト新宿店の1000坪。ジュンク堂・喜久屋書店グループが600坪以上を5店出店、気を吐いた。一部報道ではジュンク堂書店の工藤恭孝社長が「増床も含め年内6店を出店」と発言しており、書店地図の変化は避けられそうにない。 また、くまざわ書店グループが専門書を充実させた大型書店・ACADEMIAを2店出店、競合との差別化に取り組んだほか、京都地場の大垣書店が初の大型店を滋賀に、また福井・勝木書店が地元に大型店をオープンさせ、収益拡大を模索した。
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