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書協、グーグルに質問状/米国の集団和解踏まえ
日時: 2009/03/12 11:36:27
情報元: 新文化


グーグルと米作家組合、米出版協会会員5社の和解(以下、集団和解)に関し不明確な点が多いため、書協はグーグルジャパンを通じて集団和解の担当弁護士宛に二八項目の質問状を送付、3月9日までの回答を求めた。2月24日開催の書協評議委員会で報告された。

集団和解の内容は権利者を「09年1月5日以前に出版された書籍および書籍への挿入物について米国内で著作権法上の権利を有する著作者や出版社」などと規定。米国内の図書館に収蔵された日本の出版物がグーグルによって相当数スキャンされていると想定される一方で、日本の著作権者はベルヌ条約に基づき米国内でも権利を有する立場にある。

権利者はグーグルの電子書籍データベースの利用料や広告収入など商業的利用から生じる売上げの63%を配分され、その橋渡し機関として設立される「Book Rights Registry」にグーグルが3450万ドルを拠出。09年5月5日以前に著作権者の許諾なしにグーグルがデジタル化した書籍および書籍の挿入物については、スキャン済みの著作物は1点につき60ドル、挿入物は15ドル(全体挿入)〜5ドル(部分入入)を受け取れる。
グーグルは集団和解によって、民間企業などへのデータベース利用権の販売や個人向けにデータベースのアクセス権の販売などが非独占的に行える。

通知・申し立て期限は和解参加拒否・異議申し立てが09年5月5日、解決金受け取りの請求期限が10年1月5日、データベースからの特定書籍の削除申し立てが11年4月5日。通知しない場合、和解参加とみなされる。
書協の質問状では「解決金60ドルを受け取ったうえで特定書籍の削除ができるか」や「一つの書籍で著者と出版社の意見が食い違う場合はどうなるのか」、「スキャン済みリストは提示されるのか」、「電子書籍データベースは米国内の利用者に限るとされるが、それをどう担保するのか」、「商業的な電子書籍データベースの利用などの価格設定はいつ通知されるのか」など広範囲に疑問が投げかけられている。
知的財産委員会で今後の対応策を検討するものの、「これがベターという見解は提示できないだろう」と書協は話す。また、1月5日以降に出版された出版物の取り扱いが言及されていない一方、元来、著作物は「権利者の許諾を得たうえで利用するルールだが、今回の和解は黙っていたら権利なしでは概念が正反対」(書協)と根本的な疑問も残る。
質問状の案件は3月10日開催の通常総会でも報告される。

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