出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

全国医書同業会第63回総会、新会長に大畑秀穂氏
日時: 2009/06/16 09:48:49
情報元: 新文化

全国医書同業会は6月7日、神奈川・箱根湯本の湯本富士屋ホテルで第63回総会を開いた。今期は役員改選期にあたり、これまで2期4年にわたり会長を務めた本郷允彦氏(南江堂)に替わり、大畑秀穂氏(医歯薬出版)を新会長に選任。総会後の研修会では、金原優氏(医学書院)が「再販制度の現状と今後の対応」と題し講演した。

同会の会員総数は126社。当期は入会が1社、退会が5社あった。本郷氏は「一般書ほどではないが、医学書にも厳しい風が吹いている。残念ながら、会員にも営業を終える社が出てきた。いかに生き残っていくかがテーマ。著作権、値引き販売など話し合う課題は多い」と挨拶。

役員改選で、本郷氏が大畑氏に会長職を引き継いでもらう内諾を得たことを説明した。大畑氏は挨拶で「出版界が厳しさを増すなか、まず1期2年を精一杯務めたい」とし、新副会長、理事の人選や、本郷会長らの相談役就任など、役員人事案を説明。8月の理事会で正式に決定する。

当日は永年勤続者表彰も行い、猪鼻一芳(西村書店)、中川時彦(日販)、野辺忠史(トーハン)、丸谷勝久(奈良栗田書店)の4氏を表彰した(丸谷氏は欠席)。

再販制度がテーマの講演で、金原氏は「はじめにお断りしておくと、私は再販を廃止すべきではなく、そのメリットを享受したいと考えている立場だ」としたうえで、再販制度の定義から説明をはじめ、競争原理の欠如がマイナスになっていることも指摘した。「小売店が販売価格の設定・表記をしないことは、幅広い品揃えが求められる書店運営の省力化に寄与してきた。定価販売にメリットがあるというより、価格競争にデメリットが大きいといえる。書店の数は多いほど良い。本に触れる機会が多いのは日本の社会にとって良いこと」とした。

また、書協の担当委員などの経験を通じ、「(将来的な再販廃止の方針で一貫している)公正取引委員会は絶対的な権限をもっている。喧嘩や議論はほとんど意味がない」とし、廃止された場合のシミュレーションも語った。「小売店の価格競争力が求められ、出版社もまじえ正味体系の見直しが必然となる」「出版点数や出版社・書店数などは間違いなく減少する」など、大きな変化が発生することを指摘。点数の減少、流通の支障は、著作権のあり方にも影響を及ぼすだろうと予想した。

最後は「『出版は文化である』とか『書店の経営がより過酷になる』といった言葉は、外から見れば再販維持の理由にならない。価格サービスより、出版物を幅広く揃えて多様な知識を伝達することのほうが国民のメリットは大きいと主張するほかない」とまとめた。

再販の矛盾点も冷静に挙げたうえで「すべての書店が再販を遵守する姿勢を徹底することが維持への鍵」と語った金原氏だが、そもそも再販制度は多くのグレーゾーンを抱えながら運用されてきたのが実情。最近注目を集めているアマゾンジャパンの大学向けサービスなどもそこをついたものであり、「徹底」の難しさも感じさせた。

また、金原氏は「誤解をしている方も多いようだ」と、一連のグーグル訴訟問題についても解説。多くの本が対象外の「市販中」にあたること、「利用は米国に限る」としながらインターネットでその制限をいかにするのかといった疑問点は、グーグルが実際にどんな措置をとるかを見ない限りわからないことなどを解説した。

メンテ

Page: 1 |