ジャパン・ブックサーチ、始動に向け組織作り
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- 日時: 2009/11/20 12:07:53
- 情報元: 新文化
- 日本書籍出版協会(書協)、日本文藝家協会、国立国会図書館、森・浜田松本法律事務所は11月4日、東京・神楽坂の日本出版会館で国会図書館が立上げを目指す蔵書アーカイブの検索システム「Japan Book Search」(仮称)の利用促進を図るための協議会を発足させる共同記者会見を開いた。4団体・社は各自でステートメントを発表、来年3月までに地方図書館や一般読者の利用ルール、窓口となる集中権利処理機構の組織体制などに目途をつけ、四月にも提言を公表する。
協議会の名称は「日本書籍検索制度提言協議会」。メンバーは書協の小峰紀雄理事長、金原優副理事長、日本文藝家協会の坂上弘理事長、三田誠広副理事長、同法律事務所の松田政行・齋藤浩貴弁護士の六人を中心に協議し、国会図書館の長尾真館長は相談役の立場で話合いに加わる。座長は松田弁護士。
当日、司会進行を務めた松田弁護士が経緯を説明。今年6月に著作権法の改正があり、国会図書館の資料や原本のデジタル複製が可能になり、来年1月1日に施行される。アーカイブ化によって公共および商用の利用も視野に入ってきた。これを受け、今年5月に四者による準備会が立ち上がり、法律改正に依らず、一元的な利用制度の確立を目指すための正式な協議会を本日設立したと発表。
四者の代表で坂上理事長は「書籍検索制度は書籍文化に携わるすべての人びとの合意のもとで確立され、わが国ではグーグルのような愚かなことは起こらない方がいい。この協議会は、具体的な商業モデルを提言するものだ。参加に名乗りを上げるところもあると思われ、その対応もしていく」と挨拶した。
各団体はそれぞれの立場から発言した。三田副理事長は「公共性を考慮する一方で、著作者や出版社、書籍流通業などの経済的利益が損なわれない新たなシステムを実現したい。出版社には〈版面送信権〉のような権利が必要だろう」とコメント。デジタルアーカイブの有料配信について金原副理事長は「検索性、網羅性を兼ね備えた仕組みで広く読者に出版物を届けられるようになる」と評価する一方、乗り越えるべき課題や検討しなくてはならないこともあると語った。
続けて長尾館長は「国会図書館の資料保存のためのデジタル化が許諾なくできるというステップにきた。これを自由に外部配信できない状況だが、著作権の観点からではなく、権利関係者に迷惑がかからないモデルを提言する協議会へ積極的に関わり、国民に広く、公平に資料を提供できるようにしたい」と話した。
質疑応答で具体的な利用スキームに関して「著者と出版社、出版社と権利処理の団体、国有財産である国会図書館の資料の利用に関する詳細な取決めが必要。必ずしも法律改正を必要とするものではないが、契約社会にしていきたい」と松田弁護士。
金原副理事長は権利処理のあり方について「有料送信のための組織をつくる。そこでは著作権者から権利を預かり、データの管理・送信・利用料徴収・権利者への配分を一元的に行う実務的で公共性があるものになる」と発言した。
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