出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

出店数、過去5年間で最低/09年本紙「出店ファイル」まとめ
日時: 2010/02/16 08:12:29
情報元: 新文化

増改築を除く50坪以上の新規店を月次掲載する本紙「出店ファイル」の2009年年間実績は、前年比66店減の210店となった。出店数は上半期が96店で3桁割れ、下半期が前年同期比41店減の114店で、トータルでも過去5年間で最低だった。前年、前々年が284店と過去五年間で最高となり、旺盛な出店意欲を裏づけたのに対し、09年は急ブレーキがかかった感がある。書籍・雑誌売場400坪以上の大型店は前年比2店減の21店で前年並み。大型店は06年から09年の4年間で102店が開店、うち1000坪以上のメガ書店が4店。チェーン店別では前半・後半ともにリードを守ったTSUTAYAがトップ。ヤマダ電機が次位で、3位がヴィレッジヴァンガード。帳合別はトーハンが65店(前年比33店減)、日販が89店(同7店減)となった。

過去5年間の年間出店実績は次の通り(カッコ内は上半期・下半期)。

▽05年=259店(118・141)▽06年=275店(122・153)▽07年=284店(131・153)▽08年=284店(129・155)▽09年=210店(96・114)

過去五年間の比較でも昨年は上半期、下半期ともに大幅にマイナス、とくに下半期の落ち込みが顕著。

書籍・雑誌売場400坪以上の大型書店は過去4年で累計102店がオープン。そのうち複数出店エリアは東京と愛知が九店でトップを分けた。北海道が6店で3位。新潟と神奈川が5店で同率の四位。出店された35都道府県のうち、77%にあたる27エリアで2店以上がオープンしている。

また、この間の未出店エリアは宮城、福島、山梨、長野、岐阜、三重、和歌山、鳥取、島根、徳島、高知、長崎の12県。既存大型店がある宮城や岐阜、三重、長崎などを除くと、全国的に大型店は拡散した。出店数が減少しても大型店は横ばいという現実が、書店の現状を如実に表す。

チェーン店別の出店数はTSUTAYAが30店でダントツの1位。2位はヤマダ電機の17店。ヴィレッジヴァンガードが14店で3位となった。トップ3は粗利が限定的な専業書店ではなく、複合書店や家電量販店が占めることに書店の“いま”が投影される。

引き続きの傾向だが、チェーン書店の活発な出店に比べ、独立系書店の新規開店は少ない。新規店210店のうち、系列店が10店以下の店舗は49店、シェアでは23%強に止まる。

ジュンク堂書店は4月に沖縄・那覇店、7月に大阪・難波店、8月に愛知・ロフト名古屋店、9月に愛媛・松山店と矢継ぎ早に出店。また、開店から5カ月後の12月にはロフト名古屋店を600坪から1200坪に増床。それに伴い、帳合取次を変更するなど慌しい動きをみせた。

明屋書店は山口エリアで大型店を初投入。山口・MEGA新下関店を10月、山口・MEGA大内店を12月にオープン。両店とも明屋レコーズを併合した複合書店。500坪クラスの大型複合書店〈MEGA〉は愛媛・西の土居店と平田店を加え、四店となった。

くまざわ書店は9月、横浜ランドマークタワー5階に神奈川・ランドマーク店(343坪)を有隣堂の後継テナントとして開店。今春にはそこから徒歩5分圏内の商業施設内に紀伊國屋書店の出店が予定されており、“桜木町戦争”勃発も予想される。

啓林堂書店は11月、インショップ運営に実績がある京都・大垣書店と提携、奈良ビブレ店を500坪でオープン。また、文教堂は同月、コジマ電器とフランチャイズ契約を締結、コジマブックス文教堂の屋号で1号店の大阪・茨木店を200坪で開いた。これを足がかりに多店化を図りたい考え。

規模別(別表)ではジュンク堂書店が那覇店の1500坪、難波店の1400坪で1・2位を独占。同社は08年12月に札幌店を1800坪で開き、ここ4年間は毎年最大規模の出店が続く。三位は北海道・三省堂書店札幌店の七五〇坪で、旭屋書店の後継テナント。

沖縄・那覇地区の同一商圏に大型書店が相次いで出店したのは4月。ジュンク堂書店、宮脇書店のとまりん本店ともに本の専業店で、店舗間は直線距離で1キロメートルも離れていない。また、3月出店のフタバ図書アルティ福山本店は啓文社ポートプラザ店と2キロメートルと離れていない福山市神明町に出店。こうした“局地戦”は今後も続きそうだ。

09年開店の210店の書籍・雑誌売場のトータル面積は3万9516坪。これを店舗数で除すと、1店あたりの平均坪数は188・1坪。08年に比べ7・7坪減とほぼ横ばい。
(本紙2010/2/4号掲載記事から)
メンテ

Page: 1 |