出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

NET21、会員の増大が最大テーマ
日時: 2010/02/23 11:06:07
情報元: 新文化

NET21が2月6日に開いた「新春の会」の席上、同社の田中淳一郎副社長は今後1年間の重点施策3点を発表した。販売力の拡大や新たな人材の発掘、社内の活性化を目的とした「会員の増大」を筆頭に挙げ、「出版社の書店営業の方からこれはと思う書店を紹介してほしい」と呼びかけた。 顧客情報管理システム「BooksCREW」のデータ活用のほか、本部目標の設定では予約専用短冊を活用した予約活動の強化やロングセラー発掘のための「本の殿堂入り」プロジェクトなどについて説明があった。当日は出版社129社・163人のほか、取次会社やシステム会社など総勢145社・186人が出席した。会の冒頭、NET21のこれまでの10年を映像で振り返り、田中副社長が新しい10年のスタートをテーマにスライドを駆使して説明した。

昨年7月に2代目社長となった大野裕彦社長(写真)は「田中副社長の無理なお願いも『NET21は今年もがんばる』という大きな約束の一環。激しい荒波に呑まれようとする書店界にあって、NET21がそれを回避する力になれればという思いから会員の増大を図る」と説明。巨大資本がさまざまな出版関連企業を統合するなど、中小書店が危機的な状況と言及。「町の本屋の火を消していいのかとの問いには『それはまずい』と仰っていただけると思うが、私どもはそのための存在。さまざまな面から利用してほしい」と語った。

出版社や取次会社などの厚情で社長を務められたと謝意を表した渡辺順一会長は「あっという間の8年。優秀な社長候補が20人もいるのに申し訳ない想い。〈寅の刻〉は午前4時あたりで暗く、寒い時刻。裏返しで必ず明るく、暖かくなることに例えられるが、出版界には夜明けがくるのかと考えてしまう」とマーケットの不透明感を表現。一方、村上春樹『1Q84』のヒットで新たな村上ファンが増え、文庫『ノルウェイの森』(講談社)が年間で90万部売れた例を挙げ、「ヒントは既刊書。倉庫にいい商品があるはず。ひと手間かけ、顧客に勧める。メンバーの人間力そのもので勝負したい」と協力を仰いだ。

主帳合取次・栗田出版販売の郷田照雄社長の挨拶に続き、地方・小出版流通センターの川上賢一社長の乾杯で開宴。出席メンバーの紹介や情報交換などで午後八時半過ぎに閉会した。

「会員増大」「データ活用」「目標設定」、3施策を説明

田中副社長は2010年の方針説明で重点施策である〈会員の増大〉、〈CREWのデータ活用〉、〈本部目標の設定〉の3テーマを挙げ、1点ずつ具体的に説明を加えた。概要は以下のとおり。

【会員の増大】この施策には〈NET21売上増〉や〈人材を増やす〉、〈社内の活性化〉の目的がある。会員候補を発掘するため、出版社の書店営業から書店の紹介を受けるほか、「これぞ」という書店に資料を手渡してもらい“橋渡し役”を依頼する。


【CREWデータの活用】客単価は店舗間で大差がないため、購買客数の増大を図るなどのために顧客データを活用。会員数はトータル2万2000人強。会員率は24%。全体売上げに占めるシェアは49%。購入額の上位20%の分析では、月間購入回数は3.2回、単価は2200円、冊数は2.9冊となり、これらがヘビーユーザー層。この層に対する働きかけを強化。

ある文芸雑誌の購入分析では10月号=270部(会員購入九九部、シェア率37%)、11月号=296部(同113部、同38%)、12月号=227部(同82部、同36%)という実例を紹介。3号合計で4000部を販売、購入者は2400人。このうち、3号すべてを購入した読者は20%にあたる480人。定期購読率が低いため、情報のフィードバックなどで購入頻度の向上を推進する。

【本部目標の設定】▽商品の事前予約→POS実績から予約実績へ▽積極的な客注の受注→〈静〉から〈動〉接客のあり方への意識改革▽「本の殿堂入り」プロジェクト→売上げのベースを確保−のプロセスで取り組む。

予約キャンペーンは09年に新潮社『1Q84』や講談社『親鸞』、小学館『くらべる図鑑』、角川書店『KAT―TUN』など5社・7点で実施。バーコード付予約票を作成、予約データをASP型書店システムに蓄積、ダブり発注の防止などにも役立てた。CREW導入店では予約ポイント40ポイントを提供し、予約促進を図った。今年度は月次5〜10点の予約を取り、年間ベースで100点を予約販売したい考え。

「本の殿堂入り」プロジェクトではグループが長期的に販売する商品を選定委員会がチョイス。〈殿堂入り〉マークを帯などにつけて強調販売する。実用書からスタート、児童書や語学書などに広げる。
メンテ

Page: 1 |