日販、WIN参加店2700店超に/書店還元額、半年で5700万円
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- 日時: 2010/03/25 08:24:52
- 情報元: 新文化
- 日販のwww.推進部が進めるオープンネットワークWINの参加書店が2700店を超え、市中在庫や販売状況の情報開示から業界の25%のシェアをもって需要予測ができるまでになった。また、CRMシステム「Honya Club」のポイント会員が350万人に達し、読者購買履歴と販売・在庫状況を融合。個別契約から増売と返品率減少を具現化している実態が3月10日に行われた「www.カンファレンス2010」で発表された。安西浩和常務は、「今後、さらに書店の還元金額を向上させたい。委託制度に返品ペナルティを付加する買切志向と、買切制度に不良在庫処理スキームを組み入れた2方向から3者の利益シェアをさらに進めたい」と方向性を示し、構造改革に意欲をみせた。
冒頭、古屋文明社長はトリプルウィンの活動について、欲しい商品が欲しい時に、欲しい量だけ提供できるSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を出版界で実現するためのものであることを伝え、「時間を有効活用してキャッシュフローベースで利益を上げるもの」と定義した。
2兆円を割った出版販売金額は20年前の水準であるが、総返品の扱い高は当時から30%増であることに危機感を訴え、出版社や書店と契約してリスクと利益をシェアしていく取組みに理解を求めた。
続いてwww.推進部の鈴木敏夫部長は「www.プロジェクト 現状と課題」と題して報告。WIN参加社は2700書店超、270出版社で、全国の販売状況と自店の販売・在庫と出版社の在庫を照らして発注するシステム、サポートCの導入書店が1700店に拡大したと伝えた。
日販が推奨する基本在庫など、オペレーションが定着した結果、増売と返品率の改善を実現し底上げされている実態を説明。これまでは市場に送品した商品の販売状況を分析して追加対応などしてきたが、www.推進部では発売前の段階から内容・広告・パブリシティ・類書を踏まえて初回部数を検討・提案する「未刊MD」も開始。その後、これまでの「MD企画」「SCM銘柄」と発展して書店との契約販売を行う。さらに「店頭発のベストセラー発掘プロジェクト」、映画原作本と他メディアとの連動企画「BOOM」などにおいても成功事例が紹介された。4月にはHonya Clubの会員サイトを開設することも発表し、契約志向の流通改革に協力を求めた。
同部の後藤智志氏はHonya Clubの会員属性と販売動向を掛け合わせて分析する「WIN+(プラス)」システムについて、「年齢クラスタ分析」「数珠つなぎ分析」「ランキング分析」ほか、複数の商品を串刺しにした「複数銘柄クラスタ分析」などの機能をアピール。流通するすべての書籍・雑誌を対象に購買データが分析可能。会員の読者分析やアンケートから出版社で編集・広告・販売など全社的に有効活用されている事例を報告した。
安西常務は契約販売を主に総括。インセンティブ契約やインペナ契約の書店還元額は半年でおよそ5700万円。書店の売上高の0.1%と報告。「多い書店で1.16%であるが、もっと(インセンティブを)お返ししたい」と述べた。責任・計画販売や再販の弾力運用が進んでいる出版社への対応にも社内体制を整え、今後は時限再販などを組み合わせた買切りの契約にも踏み込んで、いまの契約販売と並行して取組む考えを示した。
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