【 消費税増税で国が滅ぶ 】
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- 日時: 2010/10/15 13:29:03
- 情報元: 日書連
- 「デフレ下の日本で消費税を増税すれぱ、さらにモノが売れなくなり、税収が落ち込む」と警鐘を鳴らす株式会社「監査と分析」代表取締役CEOの上念司氏は、勝間和代氏のブレーンの1人として活躍する経済評論家。
日書連消費税問題特別委員会(面屋龍延委員長)は9月16日の定例理事会に同氏を招き、「増税原理主義者の正体〜消費税増税で国が滅ぶ」をテーマに講演していただいた。
講演の概要は以下の通り。
「税収増と増税は違う」ということについて話したい。
税収は名目GDP×税率で求める。
日本は財政危機だから税率を上げようという議論をしているが、税率を上げてもそれによって名目GDPが減ってしまえば税収は減る。
97年に消費税を3%から5%に上げたときがその例だ。
理由は簡単で税率が上がると人はモノを買わなくなるから。
ただでさえ今はデフレで給料が減っている。
増税直前までは駆け込み需要でモノを買うが、税率が上がった後は反動で景気が冷え込む。
そうするとモノが売れないから企業は給料を払えなくなり、人はますますモノを買わなくなってデフレのスイッチが入る。
消費税を上げた分を埋めて余りあるほど所得税と法人税が減り税収はマイナスになる。
名目GDPが横ばいの状態では、いくら税率を上げても税収増は見込めない。
名目GDPが横ばいなのはデフレだから。
デフレ下で増税するのはクレイジーというしかない。
外国のアナリストは「菅直人は本気で消費税を上げるつもりか。
クレイジーだ」と口を揃えて言っている。
経済の常識では考えられないことをしようとしているのだ。
いま消費税を増税しろと言っている人間は日本を滅ぼしたいか? デフレを酷くして日本の国力を落とし、日本が持つ権益や世界の中における役割を奪おうとしている人がいるのではないかとすら思える。
名目GDPを何とかしようともせず、税率だけいじって税収を増やそうというのは、日本弱体化のための陰謀と考えて間違いない。
日本の借金は900兆円で、世界で金メダル級と言われている。
普段から帳簿をご覧になっている書店経営者の皆さんなら、貸借対照表に負債が900兆円あれば資産も同じぐらいあるということは分かるはず。
負債しかないなんて単式簿記ではないか(笑)。
国の借金は確かに約900兆円あるが、貸借対照表の左側には約600兆円もの世界最大級の政府資産がある。
日本の借金の純額は317兆円しかない。
GDP比約60%でイタリアと同程度。
デフレ下でイタリアと同程度なのだから、デフレを止めれば何の問題もない。
日本が今すぐ破産するという話は大嘘なのだ。
10月中旬に宝島社から出る『日本は破産しない!』にも書いたが、借金が大変だから増税しろというのは根拠のない話。
日本の債務は純債務で見ると対GDP比で約6割しかない。
負債を減らしたければ資産を売ればいい。
特殊法人を切って、小さな政府を作れば借金は自ずと減る。
国の資産のうち約400兆円は今すぐ売っても問題ないものばかり。
特殊法人は民間でも出来ることをわざわざ税金を注入してやっている。
成功すれば官業の民業圧迫、失敗すれば税金による補填で国民負担という、ろくでもない代物だ。
どう考えても消費税を増税する理由がまったく見当たらない。
借金危機もなく、増税しても税収は減るので、むしろ財政破綻に進む。
しかも支出を削減する話は出ないのだから、特殊法人が肥え太り、公務員天国になるばかりだ。
『デフレと円高の何が「悪」か』に書いたが、官僚の産業政策は絶対失敗する。
だから金融政策しかない。
実質金利は名目金利―物価上昇率で求める。
日本の名目金利は1%で、物価上昇率はマイナス3%。
だから実質金利は4%ということになる。
つまり名目上は金利を1%しか払わなくてもいいのだが、実質的には4%負担しているのと同じなのだ。
だから誰もリスクをとって商売しようとしない。
若者が草食系になったからリスクをとらなくなったのではなく、金利が高いから誰も借りない。
金利が安ければ元気な若者は借金してリスクをとるだろう。
物価上昇率がマイナス、つまりデフレでは経済がうまく回らない。
デフレだから実質金利が高く、景気が悪くて税収が増えない。
消費税を上げるよりもデフレを止めたい。
物価上昇率をプラス1〜2%へもって行き、借りたほうが得という世の中にすべき。
デフレを止めなければ為替介入のような小手先のことをやっても無駄。
デフレを止める枠組みを作ることが先決だ。
まとめると、税収を増やすためには名目GDPを増やさなければ駄目。
ただ、名目GDPを増やすためには、今の日本は実質金利が高すぎる。
これでは誰もお金を借りてリスクをとらない。
だから実質金利を下げよう。
そのためには物価上昇率を上げなければいけない。
デフレ脱却に必要な金融緩和は約40兆円と言われている。
目標レンジを決めて適正なお金の供給を行うべき。
日本を除く先進国は財政金融のフレームワークの仕組みを使って経済政策を行っているが、日本はまったくそのレベルに達していないし、そもそも単式簿記をやっている信じがたい状況にある。
こうした問題を解決してから消費税の問題を考えてもまったく遅くはない。
『デフレと円高の何が「悪」か』(上念司著、光文社新書、定価777円) モノの値段が下がり続けると私たちの生活はどうなるのか? 日本が長期停滞から抜け出すためにはどうすればよいのか? 勝間和代氏の共同事業パートナーである著者が、経済学の知見に基づきながら分かりやすく解説する。
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