【 電子書籍サービス、規約の制限の対象に 】
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- 日時: 2011/03/01 16:45:31
- 情報元: 日書連
- 出版物小売業公正取引協議会の影山専務理事は2月18日の同協議会定例理事会で、「電子書籍のサービスは『公正競争規約』の制限の対象」とする文書=別掲=を公表した。
影山専務理事は、今後、電子書籍がらみの相談事例があった場合、「電子書籍のサービスを顧客誘引の手段として取引に附随して提供すれば、景品類の提供として同規約の制限の対象となることは明白」との考え方を基本に対応していく方針を示した。
また、具体的事案については「消費者庁の考えを仰ぐこともある」とした。
〔電子書籍のサービスは「規約」の制限の対象〕 1、問題の発端 大手A書店が、B出版社の書籍を購入すると、同社の電子書籍を無料で提供するキャンペーンが報じられました。
電子書籍という、新しい情報媒体の登場によって提起された被疑事例が発端となって、当該サービスが、果して「規約」の運用上景品類の提供に当るのか否かの判断が、早急に求められることになりました。
2、「景品表示法」及び「規約」上の考え方 「値引」は景品規制の対象とはなりませんので、「規約」の運用上「景品」と「値引」の区別をすることは、重要な課題なのです。
景品表示法では、景品制限告示の運用基準で「値引」の範囲を明確にしています。
(1)対価の減額(2)金銭の割り戻し の他に、(3)同一物の付加も「値引」として定義されています。
(何れも複数回数の取引を含む) 電子書籍の無料提供は、同一物の付加(「値引」)と判断出来るものでしょうか。
公正取引委員会は、出版物と電子書籍について次のような見解を公表しています。
「独禁法の規定上は、『物』を対象としている。
一方ネットワークを通じて配信される電子書籍は『情報』として流通している。
従って電子書籍は再販の対象とならない」 ―平成22年12月3日、公取委ホームページ― 電子書籍が「情報」であるならば、指定告示で定義されている景品類「経済上の利益」のうちの「便益」に当ります。
「便益」は「規約」の運用の手引では「情報の提供」を含む、とされていて顧客誘引の手段として取引に附随して提供すれば、景品類の提供として「規約」の制限の対象となることは明らかです。
従って「値引」と定義される同一物の付加には当りません。
今後、電子書籍がらみの被疑事例を判断するに当っては、「規約」の制限の範囲で対応することを基本として、その役割を果たして参りたいと考えます。
ただし、出版に関する情報の提供については、アフターサービスとして規制の対象から外しています。
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