【 コミック市場4・6%減の3903億円 】
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- 日時: 2012/04/05 17:19:39
- 情報元: 日書連
- 出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場最前線」を特集。
これによると、2011年のコミックス、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比4・6%減の3903億円で、10年連続のマイナスになった。
同レポートからコミック市場の主な動向を紹介する。
〔コミックス、再びマイナスに〕 コミックスの推定販売金額は前年比2・7%減の2253億円。
推定販売部数は同3・5%減の4億5216万冊。
05年以来のプラスとなった昨年から一転してマイナスとなった。
『ONE PIECE』は2010年のような既刊分の爆発的売上げはストップしたものの、新刊の好調は持続した。
しかし『君に届け』『ブリーチ』など、映像化で既刊を伸ばした作品や長期人気作品が軒並みピークアウトしてしまい、その反動が大きく影響した。
『青の祓魔師』『銀の匙』などのヒットや、ライトノベル系コミカライズ作品の伸長があったものの、コミックス全体ではマイナスとなった。
平均価格は前年比4円(同0・8%)増の498円。
付録付きの特装版コミックスや、『鋼の錬金術師』などの完全版といった高単価の商品が増えたことが上昇要因となった。
返品率は同0・6ポイント増の27・1%。
新刊点数は前年より44点増加して1万2021点となり、3年ぶりに1万2千点台を回復した。
雑誌扱いコミックスのみでは同277点増加の9128点。
廉価版を除くと、同197点増加の7642点で、新刊点数の増加傾向が続いている。
書籍扱いコミックスは同233点減少の2893点。
コミック文庫は、推定販売金額が前年比4・5%減の68億円、推定販売部数が同4・4%減の1012万冊。
昨年はともに2ケタ減を記録したが、ドラマ化された『JIN』の既刊が伸びたことで下げ幅が縮小した。
新刊点数は530点と昨年より156点もの大幅減で、4年連続のマイナスになった。
廉価軽装版の推定販売金額は前年比5・6%減の219億円。
推定販売部数は同8・5%減の4672万冊となった。
新刊点数は同5・7%増の1486点と2年ぶりのプラス。
コンテンツ不足により、ごく近年のジャンプコミックス作品や少年サンデー作品なども廉価版になる状況になっている。
平均価格は同2・0%(9円)アップの469円。
〔コミック誌16年連続前年割れ〕 コミック誌の推定販売金額は前年比7・1%減の1650億円。
推定販売部数は同7・7%減の5億1603万冊で、16年連続のマイナスになった。
返品率は同0・5ポイント増の32・2%。
月刊誌・週刊誌別にみると、販売金額は月刊誌が同7・0%減の811億円、週刊誌が同7・2%減の839億円。
販売部数は月刊誌が同8・8%減の1億9181万冊、週刊誌が同7・0%減の3億2421万冊だった。
販売金額を読者対象別にみると、月刊誌の子ども向けは前年比8・0%減の265億円、大人向けは同6・3%減の547億円、週刊誌の子ども向け(少年週刊誌)は同5・2%減の545億円、大人向け(青年週刊誌)は同10・4%減の294億円。
昨年微減にとどまった少年週刊誌も5%以上の減退を示し、どの世代向けも厳しい状況だった。
大人のコミック離れが進む一方、若い世代も雑誌を読む習慣がなく、新規の読者も減少している。
子ども向け週刊誌で好調を続けているのは『週刊少年ジャンプ』のみで、その他の銘柄は軒並み部数減。
子ども向け月刊誌は『コロコロコミック』が類誌の創刊の影響で70万部後半まで発行部数が減少した。
平均価格は3円(0・9%)増の336円。
内訳は月刊誌が8円(2・0%)増の432円、週刊誌は前年と同数の265円。
11年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は前年より7点増の295点となり、プラスに転じた。
創刊誌は前年より6点多い15点。
休刊誌は同13点少ない10点。
創刊が休刊を上回ったが、『ビジネスジャンプ』と『スーパージャンプ』の休刊・統合により『グランドジャンプ』が創刊されるなど、油断できない状況は雑誌全体の流れと変わらない。
〔読者と作品の出会いが重要に〕 コミック市場が抱える問題はコミック誌の部数減少にある。
良い作品や作家の才能を育てる場としてコミック誌はコミック業界にとって土台であり、若い新規読者をつかみ、さらに持続的に読者を確保することが必要になる。
一方、コミックス単行本は作品が大量に刊行され続け、読者が読みたい作品と出会う機会を失っている可能性は相当高いと考えられる。
そうした売り損じを防ぐためにも、書店と出版社同士が連携し、店頭での読者と作品の出会いをプロデュースしていく作業の重要性が一層増してきている。
「売上げを支えていた長い人気作品が総じて落ち込みを見せる現状では、より多くの良作を新しく生み出し、1人でも多くの読者の目に止まるようにする必要がある」と出版科学研究所はまとめている。
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