送品・返品同日精算問題で業務改善案提示を指導/公取委、トーハン・日販両社に
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- 日時: 2014/03/04 17:08:40
- 情報元: 日書連
- 〔返品入帳締切日/トーハン・月末2営業日前に/日販・月末3営業日前に〕
日書連が取次各社に送品・返品同日精算の実現を求めている問題で、トーハンは返品入帳締切日を月末日起算で2営業日前の日(現状より3営業日短縮)、日販は3営業日前の日(同2営業日短縮)とする改善案をこのほど取引先書店および日書連に示した。この問題で日書連は公正取引委員会に申告書を提出していたが、公取委は審査の結果、「独禁法上、著しく不当であるとは判断できない」との見解を示す一方、両社に対し、業務改善案を作成して取引先書店に提示、日書連にも報告するよう指導した。これを受けて両社は改善案を作成し、この4月期から実施することにしたもの。2月20日の日書連定例理事会で、柴ア繁取引改善委員長は「日書連運動として一定の成果をあげることが出来た」と報告した。
〔キャッシュフロー改善「一定の成果」〕 トーハンが示した改善案によると、無伝票による返品商品については期末日起算で2営業日前の日を返品入帳締切日とし、締切日までに同社返品センターで返品処理票が貼付された箱単位で読み取り処理等が完了したものを、当期に入帳する。これにより現状より3営業日短縮となる。締切日当日中に箱単位で読み取り処理等が完了しなかった返品商品は翌期の入帳。 また、手書き伝票による返品商品については、期末日起算で4営業日前の日までに同社返品センターで返品商品と伝票の抜き出し処理がなされたものを、当期に入帳する。これにより現状より1営業日の短縮となる。締切日当日中に箱単位で読み取り処理等が完了しなかった返品商品は、翌期の入帳とする。 実施期間は14年4月期からの変更を予定している。 同社は業務システムの改善、返品処理工程の見直しを図った結果、取引先書店の承諾を条件として、返品商品に係る同社自動読み取りシステムを利用している書店に限り、返品入帳締切日を変更する。同社自動読み取りシステムを利用していない書店の返品入帳締切日は従来通り。 また、返品入帳日の変更に伴い、14年4月1日付で所定の業務規定を変更。返品入帳処理に関する規定を新設し、同社取扱商品に係る個別の売買契約の成立時点を明確にする。 同社は返品入帳締切日および業務規定変更に関する案内文、確認書、新業務規定を取引先書店に送付。今回の変更について承諾の可否を3月14日までに回答してほしいと求めている。 日販が示した改善案では、無伝返品入帳締切日を中締め、末締めともに最終営業日を含む3営業日前とする。これにより現状より2日繰り下げとなる。締切日までに蓮田および所沢にある出版共同流通の各物流センターに到着した商品が当該締期の入帳対象。変更は4月期から。なお、有伝返品の入帳締切日は従来通りとなる。 今回の返品入帳締切日の2日繰り下げにあたり、同社は(1)出版共同流通での着荷・解荷及び返品情報のデータ化(2)各種他帳票との照合、顧客別入帳データの作成(3)エラーチェック及び修正(4)送品分と返品分とを併せた請求データ確定処理――と、4つの工程で大幅な業務フローの変更と、それに伴うシステム改修を実施したとしている。 送品・返品同日精算問題は、栗田が03年に雑誌とコミック、04年に文庫、06年に書籍の返品を月末前日着荷分まで入帳可能としたことから、その他の取次各社にも返品入帳の改善を要望。08年6月20日付で「送品・返品同日精算」のお願い文書を取次8社に送付し、「取次の送品締日と書店からの返品入帳締日を同日にして、請求書を起票する」ことについて見解を求めた。取次側は一定の理解を示したものの、要望に応えるのは困難と回答した。 10年9月にはトーハン、日販に「早急な実現に向けて最後のお願い」とする文書を出し、「重大なる決意の結論に至らざるを得ない」と伝えたが、納得のいく回答が得られなかった。そこで12年5月14日、両社が独禁法で規定される優越的地位にある者による濫用行為をしていないか第3者に判断してもらうため、公取委に申告書を提出した。 申告書提出から約1年経過した13年6月下旬、公取委から連絡があり、6月27日、7月9日、10月1日、11月6日、11月13日と5回にわたりヒアリングを受けた。その後12月12日に呼び出しがあり、公取委から、申告の件は独禁法上著しく不当であるとは判断できないとの見解が提示された。ただし不問に付すということではなく、トーハン、日販にもヒアリングを行った結果、両社に対し、業務改善案を作成して取引先書店に提示するとともに、日書連にも改善案を報告するよう指導しており、よく話し合ってはどうかという公取委の考え方が示された。 公取委の指導を受け、トーハンは12月17日、返品入帳締切日を月末起算で2営業日前の日とする改善案の文書を日書連事務局に持参。日販は翌18日、日書連事務局を訪れ、返品入帳締切日を月末起算で3営業日前の日とする改善案を口頭で提示。このあと14年2月17日、日書連事務局に文書を持参した。 日書連が求める送品・返品同日精算とトーハン、日販が今回示した返品入帳締切日繰り下げとの間にはなお隔たりがある。今後、日書連―トーハン、日書連―日販で定期的に話し合いのテーブルを持つことで合意しており、引き続き日書連の主張の実現を目指す。 柴ア委員長は「公取委は1年以上かけて詳細に審査してくれた。トーハン、日販が今回示した改善案は書店のキャッシュフロー改善に資するもの。日書連の運動として一定の成果をあげることができた」と、約7年に及んだ送品・返品同日精算問題への取り組みを評価。「首都圏とその他の地域の輸送におけるタイムラグの解消など、まだ検討すべき点は残っている。これで終わりとは考えていない。今後も要望を続ける」と述べた。
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