今年上期は5・9%減/過去最大の落込みを記録/出版販売額
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- 日時: 2014/09/03 14:36:08
- 情報元: 日書連
- 出版科学研究所は2014年上半期(1月〜6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると出版物販売金額は前年同期比5・9%減の8267億円で、上半期の実績として過去最大の落ち込みを記録した。内訳は、書籍が同5・5%減の4094億円、雑誌が同6・2%減の4173億円だった。
書籍の販売金額は4094億円、前年同期比5・5%減で、1998年の同6・0%減に次ぐ過去2番目の落ち込みを示した。書籍は2007年から7年連続マイナスとなっていたものの、下落幅は比較的小さいままだった。しかし13年後半からマイナス基調が強まり、14年4月以降の前年同月比は、4月が7・7%減、5月が6・0%減、6月が10・1%減と急落。4月の消費税増税が影響し、読者の消費マインドが冷え込んだことが最大の要因となっている。 出回り平均価格は近年下落傾向が続いていたが、4月の増税後は廉価な文庫本の売行きまで不調となっているため、前年同期比0・4%(4円)増の1122円と上昇。金額返品率は、同1・1ポイント増の35・6%と、マイナス基調から上昇に転じた。 14年上半期は、100万部寸前となった『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム)や『人生はニャンとかなる!』(文響社・70万部)など健康・自己啓発書の勢いが相変わらず目立った。文芸書は、昨年は上半期だけでミリオンが2点出るなど大ヒットが続出したが、14年は話題作に乏しく人気作家の本も動きが冴えなかった。児童書では、ディズニー映画「アナと雪の女王」関連書が大ヒット。本屋大賞を受賞した『村上海賊の娘』(新潮社)などメディアで大々的に取り上げられた話題書が売行きを伸ばした。 新刊点数は前年同期比1・7%(635点)増の3万8920点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・4%(402点)減の2万7484点、注文扱いが同10・0%(1037点)増の1万1436点で、取次仕入窓口経由は前年に続き減少傾向にある。 雑誌の販売金額は4173億円で前年同期比6・2%減。17年連続のマイナスとなり、減少幅は2011年の6・7%減に次ぐ2番目の落ち込みとなった。内訳は月刊誌が同5・2%減の3319億円、週刊誌が同9・8%減の854億円。月刊誌には好調なコミックスの数字が含まれており、月刊誌の定期誌のみの実績は約10%の大幅減となっている。 好調な雑誌の多くは30代以上向けで、若者向けは児童誌など一部を除いて売行き不振に陥っている。雑誌読者の高齢化が進む一方で若い読者の参入がないため、目立った企画が出ず休刊誌が増加するという構造的な要因に加え、消費税増税が雑誌離れを加速させている。 平均価格は前年同期比1・5%(8円)増の530円。月刊誌が同1・0%(6円)増の606円、週刊誌が同0・6%(2円)増の346円だった。ムック・コミックス・分冊百科を除いた価格は、月刊誌が同2・7%(16円)増の604円、週刊誌は同1・6%(5円)減の325円で、月刊誌は価格上昇が続いている。金額返品率は、同1・9ポイント増の40・6%と40%台に突入した。内訳は、月刊誌が同2・0ポイント増の41・7%、週刊誌が同1・3ポイント増の36・2%。 発行銘柄数は、前年同期比2・0%減の3098点と8年続けて減少。創刊点数は同2点減の47点で、このうち分冊百科とパズル誌を除いた点数は28点だった。推定発行部数は同16・0%増で、3月に大部数の女性誌の創刊が集中した。一方、休刊誌は78点で、前年同期より27点増と大幅に増加した。推定発行部数は同252・9%増。インフォレストの倒産などにより、ギャルファッション誌が軒並み休刊。『MISSplus』『すてきな奥さん』などメジャー雑誌の休刊も相次いだ。 不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が2018点で前年同期比294点減少。ムックは同17点増の4661点で、定期雑誌の不振をムックで補う傾向が続いている。1号あたりを1点とカウントした付録添付誌数は、同154点減少して6219点。女性誌では、付録を外す動きもみられた。
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