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太洋社、自己破産決定/芳林堂書店破産で8億円焦付く
日時: 2016/04/01 20:21:13
情報元: 日書連



東京商工リサーチによると、太洋社は3月15日、東京地方裁判所へ自己破産を申請し、同日、破産開始決定を受けた。破産管財人は深山雅也弁護士(深山・小金丸法律会計事務所、新宿区西新宿1―25―1、電話03―6880―3840)。2015年12月末時点の負債総額は76億2964万円だが、変動する可能性がある。太洋社は同日、「ご報告とお詫び」の文書(別掲)を同社ホームページに掲載した。
太洋社は1946年に創業した中堅取次。ピーク時の2005年6月期には売上高486億6721万円をあげていたが、得意先である中小書店への売上減少で2015年6月期は171億2152万円まで落ち込んだ。赤字を散発し、10億円以上の繰越欠損を抱え、財務立て直しのため旧本社不動産を売却。しかし、売上減少に歯止めがかからず、従業員のリストラや新狭山センター閉鎖などによる再建を模索したものの奏功せず、2月5日に自主廃業に向けた動きに入ることを公表していた。
2月22日に取引先に通知した報告書によると、2016年6月期の中間決算(2015年12月31日時点)では純損失1億9441万円を計上したほか、取引書店に対する売掛金の焦付き予想が大幅に狂ったことから、当初の予想と大きく相違し、財務内容が想定以上に悪化していることが判明。その後、大口取引先の芳林堂書店が2月26日、東京地裁へ破産を申請したことで、約8億円の焦付きが確定した。また、廃業を除き、96・5%の帳合変更が確定したが、約2億円の帳合変更に伴う未回収が生じ、万策尽きたことから自主廃業を断念した。

〔ご報告とお詫び〕
平成28年3月15日
お取引出版社様
お取引書店様
株式会社太洋社
代表取締役國弘晴睦
弊社は、昨今における出版業界全体の市場規模の縮小に伴なって、取次業者間での競争が激化し寡占化が進んだ結果、書籍・雑誌等の供給体制で劣位に立ったことから、ここ数年の間に、相次ぐ帳合変更によって多くの主要なお取引先書店様を失うとともに、一部のお取引先書店様との取引につき、お取引を継続するために、取引条件を緩め、さらには売掛金の回収に際し、支払延滞を許容するなどの事態が生ずることもありました。こうしたことから、平成28年2月5日付書面および平成28年2月8日開催のご説明会において、これ以上の事業継続はかえってお取引出版社様およびお取引書店様にご迷惑をお掛けするとの判断の下に、自主廃業を前提に、お取引書店様に対しては、書籍・雑誌等の供給に支障を来さないように、速やかに他の出版販売会社様への帳合変更をすることをお願いしました。と同時に、お取引出版社様に対しては、帳合変更をすすめることによって、お取引出版社様に対する弊社の買掛金支払いの原資を確保するとともに、書籍・雑誌等の販売先の維持を図ることによって出版業界における流通ルートに混乱を生じさせないように、お取引書店様における帳合変更が完了するまでの間、書籍・雑誌等の供給を継続して頂けるようにお願いを致しました。
加わえて、弊社では、前記書面および説明会において、お取引出版社様に対する買掛金の支払原資の全容を把握するために、直ちに弊社全資産の精査を実施することをお約束し、不動産その他の重要な資産の換価処分に着手しこれを進めるとともに、前述のような一部お取引書店様に対する取引条件および回収条件の緩和によって滞りがちとなっていた一部の売掛金の回収の実現可能性を厳しく精査することとし、現に回収に着手しました。
その後、弊社のお願いした帳合変更については、平成28年2月22日付書面をご送付致しました時点では、比較的規模の大きいお取引書店様から順次、帳合変更が進みましたが、中小規模の書店様では資金繰りや帳合変更条件の詰めが難航したため、帳合変更の進捗が芳しくない状況にありました。そこで、弊社では、同書面において更なる帳合変更の進展をお願いしたところ、平成28年3月1日付書面を送付した時点では、事業の廃止等を決定された書店様を除くと、80%を超えるお取引書店様の帳合変更が決まり、それらの帳合変更に伴う決済も、同年2月中には、弊社に対する買掛金の支払を含め、ほぼ完了するに至りました。
しかしながら、弊社資産の精査のうち、資産精査のポイントとして挙げていた一部のお取引書店様に対する弊社売掛金については、弊社の最大手お取引書店様であった芳林堂書店が平成28年2月26日をもって破産申立するに至ったのを嚆矢として、売掛金の全額回収に支障を来たす事態が現出しており、うち一部については担保資産の売却によって焦げ付きの発生は小幅にとどまることが予想されるものの、いくつかの大口売掛金については、弊社の自主廃業宣言の影響で書籍・雑誌の供給が止まったことを契機として当初想定していた営業権譲渡が頓挫するなどした結果、多大の焦げ付きが予想される状況に至りました。なお、資産売却については、とりわけ不動産の売却は境界確認その他の手続で自ずとそれなりの時間を要するものであるところ、これまでご報告しましたとおり順調に進んでおります。
こうしたことから、弊社では、お取引書店様の営業を守ることによって出版業界における流通秩序の混乱を回避するとともに、お取引出版社様の弊社に対する売掛金債権の返済原資の充実を図るという、帳合変更によって実現しようとした2つの目的がほぼ達成されたものと判断し、平成28年3月1日付書面をもって、お取引出版社様に対し、弊社に対する書籍・雑誌等の供給の停止をお願いすることとしました。なお、芳林堂書店が破産申立をしたことについては、平成28年3月1日付書面を送付した時点で、当該事実を認識していたものの、当時、同書店における弊社在庫の処分につき交渉中であったことから、当該交渉に悪影響が及ぶことを懸念して同書面では言及しなかったことをお詫び申し上げます。お陰さまをもちまして、当該交渉が纏まったことから、当該在庫が約3億円にて現金化しうる運びとなっております。
以上のような状況の下で、とりわけ芳林堂書店の破産申立によって、弊社による当初の回収見込みに相違して、平成28年2月22日付書面で明らかにした弊社売掛金1210百万円(平成28年2月末現在では、1160百万円)のうち、前記在庫売却による回収額を除く金約8億円が売掛金として焦げ付くことが確定したことや、その他の一部大口お取引書店様に対する回収の実現可能性の見通しがついたことを踏まえ、これまで実施してきた帳合変更に伴う残務処理(主に弊社売掛金の回収)および前記の芳林堂書店における弊社在庫の処分につき、一応の目途が立ち、帳合変更については、事業の廃止を決定された書店様を除くと、96・5%(なお、店舗数ではほぼ全て)に及ぶに至った(ただし、帳合変更に伴う決済は、本日現在において、約2億円が未回収となっております)ことから、弊社においては、もはや万策が尽きたものとして、自主廃業を断念し、この度、本日の午前10時をもって東京地方裁判所に対し破産申立をするに至ったことをご報告申し上げます。
この間、弊社のお願いに対し、ご協力頂きましたお取引出版社様およびお取引書店様におかれましては、重ね重ね感謝申し上げるとともに、弊社の全資産を処分あるいは回収したうえで、お取引出版社様に対する買掛金を弁済するという当初想定したスキームを完遂することができず、その結果、お取引出版社様に対し、多大のご迷惑をお掛けするに至ったことにつき、誠に申し訳なく、深く深くお詫び申し上げます。
以上
メンテ

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