日販連結決算、グループ会社貢献で増益確保/取次事業、創業以来初の営業赤字に/雑誌・コミックの落ち込み、運賃値上げが影響
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- 日時: 2018/06/18 21:11:07
- 情報元: 日書連
- 日販は5月30日、第70期(17年4月1日〜18年3月31日)の決算を発表。日販グループ(連結子会社28社)の連結売上高は、前年比7・3%減の5790億9400万円となった。雑誌やコミックスの落ち込みに加え、運賃の単価値上げや最低賃金上昇による荷造費増加などの影響で、出版流通業(取次事業)が創業以来初の営業赤字に。一方、小売業は本部経費の圧縮で大幅な経費削減を実現し、営業黒字に転換した。これにより、営業利益は同7・2%増の23億6600万円、経常利益は同5・9%増の25億5000万円。親会社株主に帰属する当期純利益は同75・1%増の7億2100万円と減収増益の決算になった。
日販単体の売上高は同8・0%減の4623億5400万円、営業利益は同69・7%減の5億100万円、経常利益は同54・5%減の10億1600万円、当期純利益は同24・9%増の8億6900万円。減益の要因は、本業である出版流通業の損益が営業赤字へ転じたことによるもので、不動産事業は堅調に推移し、単体の損益を支えた。 商品別の売上高は、書籍が4・9%減、雑誌が10・0%減、コミックスが11・8%減、開発品が12・8%減。書籍部門の赤字構造が続いている中で、特に利益の大部分を占める雑誌部門の売上減が損益に大きく影響した。販売ルート別では、CVSルートは1軒当たりの送品冊数が減少、輸配送効率の悪化が顕著となり、同ルートの赤字拡大が大きな経営課題となっている。書店ルートも、返品率の下げ止まり、雑誌やコミックスの売上減による粗利益の喪失、運賃・荷造費の悪化により大幅減益となった。 単体の商品別返品率は、書籍が同0・9ポイント増の31・3%、雑誌が同2・2ポイント増の45・5%、コミックスが同4・0ポイント増の33・0%、開発品が同3・4ポイント増の45・0%、合計では同1・9ポイント増の37・6%。 連結の事業別業績をみると、日販と(株)MPDが中心となる出版流通業の売上高は5462億円(同7・7%減)、経常利益14億円(同49・8%減)、13億円の大幅減益となった。(株)MPDは、文具・雑貨は拡大したが、レンタル市場の落ち込みが響き売上高が大幅に減少した。また、今年度清算結了した(株)日販図書館サービスと(株)OKCは、前年度に損失を計上しており、前年差異では増益要因となった。 小売業は、売上高635億円(同5・4%減)、経常利益1億円、9億円の増益となった。17年10月にグループ書店を統括するNICリテールズ(株)を設け、グループ書店の収益力強化と本部機能の効率化に取り組んだ結果、営業赤字から黒字に転換した。 不動産事業は、売上高24億円(同6・0%増)、経常利益10億円、2億3700万円の増益。その他事業は、売上高55億円(同6・5%減)、経常利益は6億円、2億円の増益。 同日行われた記者会見では、荷造運送費の動向について、輸配送効率の大幅な悪化が運送会社の経営にも大きな影響を及ぼしており、昨年1年間で取引輸送会社からの返上や値上げの申し入れは、約半数の16社にのぼると説明。また、出版社に対する取引条件の改定については、書籍と雑誌それぞれ100社ずつに交渉を行っており、上半期が終了した段階で状況を説明するとした。
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