紙の出版販売額、今年上期は8・0%減/雑誌のマイナス幅拡がる/出版科研調べ
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- 日時: 2018/09/15 18:55:55
- 情報元: 日書連
- 出版科学研究所は2018年上半期(1〜6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の販売金額は6702億円で、前年同期比8・0%減と大きく落ち込んだ。書籍は同3・6%減の3810億円。雑誌は同13・1%減の2892億円で前年の8・5%減より下落幅が拡大した。
〔主要ジャンルが減少、児童書は健闘/書籍〕 書籍の販売金額は3810億円で前年同期比3・6%減。文芸、文庫、新書、ビジネス、実用、学参など主要ジャンルが軒並み不振で、前年よりマイナス幅が拡大した。特に文芸や学参など前年大きく伸びていたジャンルの落ち込みが目立った。一方、児童書は前年並みの水準を持続し、一般・教養書は好調に推移した。販売部数は、同4・7%減の3億710万冊。 新刊平均価格は、同0・4%減の1177円、出回り平均価格は同1・3%増の1176円。廉価な文庫本の不振で、出回り平均価格が大幅に上昇した。金額返品率は34・6%で同0・4ポイント悪化した。 新刊点数は同1・2%(435点)減の3万6276点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・5%(400点)減の2万5566点、注文扱いが同0・3%(35点)減の1万710点といずれも減少した。取次仕入窓口経由は6年連続のマイナス。 18年上半期は、『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が202万部に達し、前年に続いて売行きを牽引した。文芸書は、前年の村上春樹や又吉直樹の新刊のような大物タイトルが不足しマイナスに。その中で健闘したのが芥川賞受賞の若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)で、50万部を超えるヒットになった。辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)は本屋大賞を受賞した4月以降じわじわと伸長した。 児童書は、「ざんねんないきもの事典」(高橋書店)や「おしりたんてい」(ポプラ社)などシリーズものでヒットした書籍が多く前年並みをキープした。学参は、「うんこ漢字ドリル」(文響社)など前年大ブレークしたシリーズの反動で大きく落ち込んだ。 文庫本は約7%減と厳しい販売状況は変わらず。売行き上位は映像化作品と人気作家の新刊という傾向が続いている。
〔ムック、コミックスの落込み際立つ/雑誌〕 雑誌の販売金額は2892億円で前年同期比13・1%減となり、前年同期の8・5%減を超える大幅な落ち込みを記録した。内訳は、月刊誌が同13・6%減の2341億円、週刊誌が同10・7%減の550億円。月刊誌は、定期誌が約11%減、ムックが約16%減、コミックスが約15%減で、ムック、コミックスと不定期誌の落ち込みが特に目立った。 推定発行部数は同11・7%減。内訳は、月刊誌が同12・5%減、週刊誌が同9・4%減。推定発行金額は同11・0%減で、月刊誌は同11・6%減、週刊誌は同8・2%減。平均価格は同0・9%増の569円で、月刊誌が同1・1%増の645円、週刊誌が同1・4%増の366円。部数の減少を価格上昇によって補おうとする動きが活発になっている。 金額返品率は同1・3ポイント増の45・3%で、月刊誌が同1・3ポイント増の46・3%、週刊誌が同1・7ポイント増の40・8%。特にコミックスの返品率上昇が顕著だった。 創・復刊点数は同8点減の35点。休刊点数は同16点増の81点で、『ARiA』(講談社)、『別冊花とゆめ』(白泉社)など大手出版社の主要コミック誌が休刊し、連載媒体をWebに移行する動きが目立った。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が同94点減の1610点、ムックは同275点減の4025点。1号を1点とした付録添付誌数は、同459点減の5439点だった。 雑誌は、女性誌・美容誌を中心とした豪華なグッズ付録つき雑誌や、人気アイドルを起用した号などは好調な売行き。特集や付録で単発的に売れる傾向に変化はなく、前年を上回った主要ジャンルはなかった。
〔紙+電子の出版販売額は5・8%減〕 18年上半期の電子出版の市場規模は1125億円で前年同期比9・3%増、金額で96億円増加したが、2桁の伸びとはならなかった。内訳は、電子コミックが同11・2%増の864億円、電子書籍が同9・3%増の153億円、電子雑誌が同3・6%減の108億円で、雑誌がマイナスになったのは今回が初めて。 コミックは、値引キャンペーンなどが引き続き盛んで成長を続けているものの、違法海賊版サイトの影響もあって伸び率は緩やかになった。書籍は、ビジネス書や自己啓発書、ライトノベルなどが引き続き好調。雑誌は、売上占有の高いNTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数が、キャリアショップの契約手続きの見直しで17年4月以降減少傾向にあることが影響した。 上半期の紙と電子の市場を合わせると7827億円、同5・8%減。市場全体における電子出版の占有率は14・4%で、同2・0ポイント増加した。
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