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「指定管理者制度は図書館になじまない」「街の本屋、地域社会はもっと大切に」/地方創生EXPO・片山元総務相が講演
日時: 2020/04/08 21:26:06
情報元: 日書店

早稲田大学教授で元総務大臣、元鳥取県知事の片山善博氏が、2月5日、千葉市美浜区の幕張メッセで開かれた「地方創生EXPO」で、「真の地方創生と公共図書館の役割」をテーマに講演した。片山氏は指定管理者制度は図書館になじまないと指摘し、街の書店を大切にすることが真の地方創生を実現するための第一歩になると訴えた。
片山氏は、「図書館がないがしろにされている」と図書館を取り巻く現在の状況に疑問を示し、その典型的な例として「人手に渡してしまうこと」=指定管理者制度に言及。「図書館を未来永劫、指定管理者に任せるわけではない。契約は3年から5年。働く人は1年の短期雇用。これでは、司書は中長期的な視点を持つことができない。重要な仕事をしているのに収入も良くない」と、短期で不安定な雇用条件で働いている司書の実態を問題視した。
また、指定管理者が図書館で提供する、外資系カフェを導入してコーヒーを飲みながら本を読むことができたり、本を借りることも買うこともワンストップでできるサービスを評価する声もあるが、片山氏は鳥取県知事を務めた経験から違う感想を持つという。
片山氏は「ユーザーは便利だが、街の本屋はどうするのか。街に本屋があって一生懸命仕事をしているのに、行政が税金を使って東京の大手資本を誘致して、そこで本を売られたら、地元の本屋は商売あがったりになる。私が本屋の店主なら、自分も税金を払っているのに、その税金で何てことをしてくれるんだと思うだろう」と、街の書店の気持ちを代弁するように訴えた。そして、「地方創生で雇用を生むといいながら、結果的に地元の本屋の首を絞めるようなことをしてしまっている。言っていることとやっていることが矛盾していることに気付かなければいけない」と厳しく批判した。
また、便利・手軽・安いことが重宝される時代を否定はしないとする一方、「それを追求し過ぎれば、地域は疲弊する」と指摘。「最近、地方ではネットで本を買う人が多い。ネットではどんな本か分からないから、まず本屋で現物を見て、家に帰ってネットで注文する人もいる。本屋からすれば、自分たちはネット書店の展示場かと疑問に思うだろう。なぜ本屋に行かないのかと聞くと、地方は本屋が小さく、注文しても1週間かかる。ネットで買えば明日か明後日に届く。便利で手軽だからと言う。でも、みんながそれを目指したら本屋は商売あがったりになる」と訴え、「街から本屋がなくなったら、私は寂しい街になると思う。そんな街には住みたくない。本屋があって、ふらりと寄って、気に入った本があれば買って、無ければ注文する。そういう本屋のある街は魅力がある。品格と風格のある街だと思う」と持論を展開した。
そうした街を創るために必要なこととして、「便利さばかりを追求するのではなく、多少は不便を忍ばなければいけない。それが地方創生の第一歩。1人ひとりが地域のことを考えることだ」と語った。
メンテ

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