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トーハン、連結・単体とも増収増益/出版流通事業は厳しい状況続く
日時: 2021/07/08 14:58:40
情報元: 日書連

トーハンは5月31日、2020年度決算(20年4月1日~21年3月31日)を発表。連結対象子会社29社を含む連結決算の売上高は前年比3・9%増の4245億600万円、営業利益は同205・7%増の40億3300万円、経常利益は16億8000万円(前年は14億5700万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億7600万円(前年は59億8500万円の純損失)と増収増益になった。
事業セグメント別に経常損益をみると、「出版流通事業」ではトーハン単体で11億2000万円の赤字となったが、赤字幅は前期より縮小。書店系連結子会社13社は、コミックの売上伸長や巣ごもり需要による売上増加で8億7400万円の黒字となった。「不動産事業」は合計で経常利益が15億3400万円と、前期と同程度の利益を安定的に上げており、今後も旧本社跡地を始め活用物件の増加により収益の確保を見込む。フィットネス事業やコワーキングスペース事業を進めている「新規事業」はコロナ禍の影響もあり赤字解消には至らなかった。
トーハン単体の売上高は同4・0%増の3990億2200万円。営業利益は同81・8%増の35億9300万円、経常利益は3億600万円(前年は4億7200万円の経常損失)、当期純利益は2700万円(前年は55億9200万円の純損失)となった。
単体売上高の内訳は、書籍が同1・5%増の1696億5300万円、雑誌が同5・7%減の1186億7700万円、コミックが同31・2%増の621億1800万円、MM商品が同11・9%増の485億7300万円。
返品率は、前年比3・4ポイント減の36・2%となった。内訳は、書籍が同2・7ポイント減の36・2%、雑誌が同1・4ポイント減の46・8%、コミックが同7・0ポイント減の19・7%、MM商品が同1・5ポイント減の18・1%。
記者会見で小野晴輝専務は、黒字転換の要因として、『鬼滅の刃』(集英社)をはじめとするコミックが牽引し書店店頭が好調だったこと、返品率の大幅改善、出版社による運賃協力を挙げた一方で、「店頭の好調はコロナ下での一時的なもので、状況が抜本的に改善しているのではない。出版流通事業が楽になっているわけではないのが実態だ」と説明。昨年から出版社に協力を要請している雑誌の「超過運賃負担金」基準運賃改定では、21年3月末現在で704社中339社、書籍の「物流・運賃協力金」については1580社中719社から協力するとの回答を得たとし、今後も未回答社と協議を継続すると述べた。
役員人事は、堀内洋一取締役が常務取締役に昇任、池邉友彦執行役員が取締役、元トーハン社員の柴野京子上智大学文学部新聞学科准教授が社外取締役に新任。また藤原敏晴常務は退任して監査役に、木原篤総務人事部長は執行役員に新任と発表。6月29日開催の株主総会、取締役会で承認された。
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