野間文芸賞にリービ英雄氏『天路』/野間4賞を発表/野間文化財団
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- 日時: 2021/12/31 16:10:56
- 情報元: 日書連
- 野間文化財団が主催する野間文芸賞など野間4賞の発表が11月4日、東京都内で行われた。
第74回野間文芸賞はリービ英雄氏『天路』(講談社)、第43回野間文芸新人賞は井戸川射子氏『ここはとても速い川』(講談社)、第59回野間児童文芸賞は、たかどのほうこ氏『わたし、パリにいったの』(のら書店)に決定。第3回野間出版文化賞には、漫画「進撃の巨人」作者の諫山創氏、作家の伊集院静氏、2人組の音楽ユニット「YOASOBI」、同賞特別賞に、角川文化振興財団が運営する角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)をそれぞれ選出した。 野間文芸賞受賞の『天路』は、リービ氏が約10年前から続けてきたチベット高原への旅の体験に基づいて書かれた4つの短編で構成する。リービ氏は「野間文芸賞はどっしりした長編じゃないともらえないと思っていて、短編小説に毛が生えたような4つの作品を本にしたものに賞をいただけるとは思わず、驚きとともにうれしさを感じている。2つ目の『西の蔵の声』は、僕がすごく書きたかった作品。ある有名な寺院を回り、生と死の文化に触れながら、私小説的に母が亡くなったことを思い出して書いた」と話した。 野間文芸新人賞を受賞した『ここはとても速い川』は、第1詩集で中原中也賞を受賞した井戸川氏の初めての小説集。表題作と、小説第1作「膨張」を収録する。選考経過を報告した選考委員の川上弘美氏は、受賞作について「選考委員全員が丸を付けたが、それぞれほめる点が違っていたのがユニークだった。文章と物語が複合的に絡み合い、この作者にしかできない表現」と述べた。 井戸川氏は「1作目を書いているときは、これは小説と言えるのかな、表題作を書き終わった後は、道徳的過ぎるかなと思った。いつも自信がないのだが、でも私はこの作品はいいと思うんだよなと、そこだけは自信があった」と受賞の喜びを語った。
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